全国100万人の消費者に捧げる大特集!

連日テクノ大廉売・実施中〜


 お菓子売り場の隅っこで「レイアース・
チョコ」だの「赤チャ・キャンディ」だの
を探し求めながら(アホ)、ふと耳にした
あの旋律は? 蛍光灯キラめく資本主義
経済の殿堂に、電子のリズムが鳴り響く。
そぉれ、スーパーマーケットへゴー!
           
●アンデルセンの国から 
  '92年ちょっとだけ話題になった曲が
「スーパーマーケット」。図のEPはク
ラフトワークが苦笑しそうな古典テクノ
調オリジナルとハウス風ミックスを収録、
いずれも「スーパーマーケット」と連呼
するだけ。どうやら作者のデンマーク青
年たちは、他に言うべき言葉を持ち合わ
せなかったらしい。そこだけ妙に感動的。

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 SUPERMARKET「SUPERMARKET」ICERINK/DAVO 4CD
 コレぞ、現代消費文明の中枢機構に捧げるアンセム
           
●アムス西武 
  地階・食品売り場で、ギョーザの皮は
「ジャンボ」にすべきか普通サイズにする
べきか…などと悩んでいるアナタの頭の
上に、天井のスピーカからピュピュ〜ン
と電子音が降り注ぐ。ハッッとして周囲
を見渡すが、そんな音楽に注意している
のはアナタだけ。知らん顔で買い物に精
を出す、パパ・ママ・お子様たち。まるで
盛況のクラブで自分だけが音楽から離れ
てしまった、あの感じをそっくり裏返し
たような気分。
 …さて今日の平均的ポップ音楽のほと
んどは、シンセ/サンプラーとシーケン
サで作られる。つまりそれらは、往年の
テクノポップ運動の拡散の果てに現れた
「2流テクノ」。その中でもさらに2流プ
ロ音楽家の無意識から電子の律動を流出
させるのが、スーパーとゆー空間の魔術。
SMAPの唄う『赤チャ』のテーマも、
よく聞けば電子音てんこ盛りだ。
           
●ロンドン買い物事情 
  別にそれほど好きじゃないニューロポ
リティーク(この人、近くニューマンと
合作するつー話)だが、ビーチウッドか
らの新アルバム(elec 22lp)は、「スーパー
マーケットで迷子」(!)という曲を収録。
慾情きわまってたまらず購入したら、案
の定その曲だけがベリ〜OK。キラめく
商品の集積の中をさまよい続ける恍惚と
不安。
           
●サミット 
  モーツァルトやシューベルトらの名曲
と、「ママがサミットでぇ〜/月曜と金曜
はぁ〜」などとゆー実にくだらない唄を
平気でミックスしてくるのが、ココんち
の選曲の特徴。これぞ、バレアリック。
           
●ちゅ〜りっぷと解体新書 
  一生に一度でいいから、自分の音楽を
スーパーで楽しみたい。心からそう願っ
ていそうなオランダの貴公子、ライク・ア・
ティム。アナタが蘭国のスーパーで、ウッ
トリと冷凍ケースの前に放心してその場
の音響に聞き入るバカを見つけたら、そ
いつがきっとティムだ。意外と早く出ち
ゃった最新2枚組(図)は、安物ラヂカセ
や不調な店内PAから流出する電圧不安
定テクノ。クラフトワークを誤解した黒
人たちの創始によるテクノ/ハウスを、
ティムは再び「コレでもか!」とばかり
存分に誤解してみせる。中でもC1「ハ
ウス少女とヲタク少年」は、過剰な知性
をメスにしてテクノ「ポップ」とアシッド
ハウスをグチャ混ぜに切り刻む彼のポッ
プの一大頂点。Pモデルのファンも必聴。

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 DJAX-UP-BEATS 233
 この意味不明イラストも
 byティム。B2「クラック」は、
 クラッカーをカジる音の
 伴奏入り。まさに「ブギ〜」
           
●信濃屋 
  東京・世田谷区にしか存在しないマイ
ナーなスーパー。さてココんちは普段、
ビートルズやビーチボーイズなどのイン
チキ臭いカバー版を流している。なぜ、
ことさらにフェイクなのか? それはつ
まり「聞かないための音楽」だから。今日
のポップ音楽の(続きはこっち)
           

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