テクノ蘭学事始

世界に羽ばたくアシッド少女(!?)、その翼はDJAX!

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「THE WAREHOUSE REMIXES」DJAX-UP-CD4
シカゴ超名曲リミックス集。入門用にオススメ


 オランダ、といえばチューリップと風車と解体新書、そしてそれらを足して割れば… そう、テクノ! あの小さな国にロッテルダムのガバ、そこから発進したスピーディJ (次頁参照) 、アムステルダムのフレッシュフルーツ、等々いろんなテクノがひしめくその 中で、ギラリと光るのが南部アイントホーフェンのジャックス(DJAX)レーベル。今やそ の実力はR&Sやワープをしのぎ、+8やURにも肉薄。他誌ではゼッタイに読めな いコアな大特集よ〜ん。

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DJ SKULL「MET "L" GEAR」DJAX-UP-201 ジャックスで
イヤなのは、DJ T-1000による恥知らずなイラスト。
これなんか、まだマシな方(音は本物のシカゴでグ〜)

 ジャックス。DJのオノ。クルマをジャッキアップ。ビールのジョッキ。ハイジャック。含みの多い?この名は、社長であるサスキア・スレガースのDJ名<ミス・ジャックス>に由来する。「いつもアンダーグラウンドなダンス音楽に魅かれていた」という彼女の実年齢は、ジャックスの最高機密。しかし「ジョイデビ、ニューオーダー、バウハウスが大好きだった」というから、それとなくバレてしまう。そんな平凡なニューウェーブ少女がメジャーの音楽にあき足らず、アイントホーフェンの自宅で自主レーベルを開業したのが'89年。

 ところが初期ジャックスのリリースは、意外にもラップ。テラスでおなじみステファ ン・ロバースとの出会いが、彼女をテクノ開眼させたのだ。以後はこの道まっしぐら、 約5年間に百枚以上(推定)をリリース!

 テラス、スパズムス、エッヂ・オブ・モーション、その他多くの欧州アーティストを送り出しているはもちろんだけど、ジャックスの功績は何よりシカゴアシッドの魅力を再発見し、交流しながら双方のシーンを活性化したこと。長年インチキレーベルに翻弄され、かつ世間の無理解に呆れかえっていたシカゴの天才たちは、サスキアを熱烈に歓迎した。彼女だけが彼らに正当な尊敬を送り、その音楽に正当な報酬を支払ったのだ。

 アルマーニ、アルマンド、マイク・ダン、そしてロン・トレント。彼らアシッドの巨人たちの伝説的な名曲が、リミックス盤としてリリースされ、デトロイトと並ぶテクノの聖地シカゴを強烈に印象づけた。それらの作品でオリジナルを超えたものは一枚もないけれど、しかしこれによってシカゴ・シーンは元気百倍。ポール・ジョンソン、DJスカル、フェイズフォースら有力な新人も現れ、ジャックスや他レーベルから精力的なリリースが続いている。現在、ホーティンやハードフロアによるアシッドリバイバルに続き、本家シカゴアシッドの再発見が世界的に(日本では本誌によって)進行中だけど、その第一の功労者はまぎれもなくサスキアちゃんなのだっ。

 圧倒的なシカゴパワーに負けじと、欧州勢も奮闘中。ロバースはイマイチだが (p.6参照)、前号で絶賛のパープル・プリジェードがすでに一矢を報いたし、今月紹介のクレメンタインやライク・ア・ティムには大いに期待できそう。一方NYからも、ストームというスッゴい援軍(詳報次号)が現れた。ワイルドなダンスビートで世界を揺るがせるジャックス! 行け行けサスキア、愛してるっ! ここにもジャックス

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オールダム(T-1000)に挑戦! というワケで、
サスキアの似顔絵を描いてみました。ヒトのコト言えないなあ…


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