U R 【20000916】浦和レッズvs大宮アルディージャ

Official Matchday Card (*) : 吉野 智行
MDP表紙:ゼリコ・ペトロヴィッチ

芝もボロボロならチームもボロボロ。だが決して「なにか」のせいにせず100%のファイトで闘ってきたペトロの、今日がラストゲーム。
「負けることもあるかもしれない、が」選手は100%ファイト、サポは100%サポート、負けても次、すべての評価はJ1にあがってからにして。この言葉の重みがわかるすべての当事者に向けて繰り返し、契約満了を待たずに「いま」去る理由は言わず。新外人の獲得が今日はじめてHPで公開された。今季出場可能なぎりぎりのタイミング。

9:45 UB蛇*の掲示板にURAWA BOYS&CURVA EST名義で書かれた呼びかけ(たぶん有志ってことだったんだろう)にこたえ、駒場東ゲート側照明塔下に向かう。雷雨。人は10人弱。チーム、友達つながり、そして掲示板みてのひとり参加。東ゲートで最後の徹夜(次の札幌戦から並びのルールが変わるとクラブからのお知らせが貼ってあった)を経たいくつかのグループからあと10数名が加わる。

俺たちの誇り ペトロヴィッチ
ごみ袋とガムテで文字をつくって、剥がれないよう最後の仕上げ会場係の好意で雨を避けバックスタンド通路での作業に
赤の「12」デカ旗に本日限定のメッセージをこめた
名もなき兵士たち
12時頃、2Fにあがってセレモニー用の人文字の仕込み。赤い小旗と白い紙で背番号「6」。ちょうど調整中のオーロラビジョンにその様子を映してくれた係のひと、ありがとう(一瞬、ピクシーの顔が映って……ネタバレやん)。最後にはじめてUBにカンパ。

14時すぎ そろそろMDP売ってないかな〜と西側へ(東にも売りにくるんですが)。人垣の中央にMDP売りのお兄ちゃん。ペトロ、ペトロ…我先に買って雨の下、ページを繰る。15:30開門。並ばず開門後に西側から入場するときと比べて非常に厳しい荷物検査。雷雨でボーイズマッチは中止。通路には旗に寄せ書きするひとたち…。

17:50 雷鳴轟くピッチに選手が出てくる。今日、最高のパフォーマンスをみせるために調整をしてきたというペトロは、控え組。熱い声援。でも間違うな。どの選手だってそうでなきゃだ。ゴール裏のひとたちはそのことを知っている。だから選手入場でレッズ90勝モードに切り替えたよ。選手からは「ペトロのために、絶対勝ちます!」なんてコメントが場内放送で流れたけれど、そうは言ってほしくなかった…。

18:31 赤いデカ旗(*)がおりたことを見届ける間もなく応援突入。頭蓋骨がしびれるようなコール。願わくば2-0以上で折り返し、ペトロが入る…。選手たちもそうだったのか? ゴールを急ぎ、攻めてるように見えて点にならない。焦れてくると、ただ動きが遅くなる。無責任なパスとりあえずパス。誰かにいい仕事させようというパスがでない。オレがやるぜって走り出しがない。岡野ひとりが気をはいても大宮の最終ラインは崩せない。
高円宮殿下臨席、主審はJ2でははじめてのモットラム、終わったらペトロのセレモニーってハレの日感と、前回大勝の相手、しかもMF原崎、マークは出場停止だしってゆう楽勝感でいっぱい? おまえらコドモか? 3/25最初の埼玉ダービーのとき、伸二のPKで辛うじて勝ったこと、忘れてないか?(福福コンビが全然機能せず、後半大柴いれてPKゲット、それ以外はまったく大宮ペースだったような) 確かに今日の大宮はいつも以上に「対応する」って感覚で、ふだんのアタマで考えたような組織的動きがとれてないし、ミスも目立ち、その分レッズ優勢に見えるが…。アドバンテージを自分でつぶしてる

応援しづらいシーンの繰り返しを経て、雷雨のハーフタイム、黙々とシュート練習するペトロ。大宮サポが騒がしい。ハーフにも応援してる…(と思ったんだが、後できいた話では揉め事が起こっていたようだ。詳細不明)。
表情も態度も動きも、オフザボールのときだってピッチの上では全身で闘い、勝利のためには怒鳴りもするペトロと、かみあうようになったレッズが見たかった。MDPに載ってた選手たちの贈る言葉は寒かった…(岡野のはなかったけど)。

「自分の人生の中で一番つらい試合になるでしょう」ペトロの言葉。後半さらに漠然、ズサン。そーゆー意味ぢゃないんだってば! 小野が前見てるふりして後ろに出す、っていないんすけど。気配もないところに虚しくあがるクロス。声だすとかしようよ。アンジーは見え見えのトラップに何度もひっかかる。大宮は中盤支配しだして闘う姿勢みせてくる。
気負いすぎ? コール続かず、方向みえず。ボールは伸二のとこで滞りがち。途中で河合にかえてペトロが入った(59分)ことも忘れるようなにぶい展開。早い時間帯にヘッディングをポストにあてて以来なんどかシュート外した永井、いろいろ考えてるよーだがかみあわない。下がってパスもらうのか自分で取るのか不明。ナギ〜コールでチャンスを呼び寄せる! と、兆したとこで吉野に交代(74分)。あのカントク、こーゆー交代多いっす。選手が本気で(カントクから見ると勝手に)動き出すのが気に入らないんだろうか!? 
吉野走る、ペトロ動く、ああパスが出る瞬間からどきどきするようなプレーが見たい。
おーペトロの決定的なスル〜パス!!!アンジー!!!がすべってラインをスル〜。あぁ。
あと10分、とにかく1点! が相手のもっさりした展開に集中切れがちなレッズ。右サイド、ヤバめな位置からの大宮のFK、ジョルジーニョが(87分)。
えーっ。
急げ、あと5分?2点いれるぜ! と猛然とダッシュして戻ってるの岡野だけ。
怒。
それまで99%何考えてんだそのパスって思っても声を荒げたりしなかった。最高にいい空気でサッカーしてほしかった。あせらせていいことないのに、だめだ応援が絶叫になってる。手すりにつかまって声張り上げながらどこかですごく悲しくダメだろって思ってた。どうしてもそれを消せなかった。内舘にかえて大柴(88分)。なんでロスタイムにという気持ちを押しやり、くだらないゴールでいいからお願い!エメならロスタイムに2発決めるぜ!?(←さすがにひとりで2発はないか…
サポの願いだけでは奇跡は起こらず。

ペトロが手を叩きながらやってきた。キャプテンマークつけてる。ちょっとおいて伸二とアンジー、あとはぞろぞろ。アンジーがペトロとトモの手をつかんで挙げる。がっくりうなだれる室井。拍手?ブーイング? もうぐちゃぐちゃ。ペトロ最後のユニ投げもなく、セレモニーというかたちにすくわれる。
オーロラビジョンに映る回想シーン。赤い絨毯をわたってセンターサークルのステージにペトロがあがる。わたしはこの「負け」から気持ちを切りかえられなくて、涙の向こうに伸二の花束贈呈も漠然とみてしまう。
仏98W杯で同じユーゴ代表だったストイコビッチからビデオメッセージ「浦和サポーターのみなさんはこれからもペトロを応援してください」。
ペトロはそんなことひと言も言わない。Jリーグチャンピオンになるよう応援すると日本語で。いつもの早口がききたかったと思ったときはもうペトロは小走りに場内をまわっていた。着ていたユニを脱ぎかけてまた着て。ペトロ〜〜〜っ。今日のために縫った旗を掲げ、振って、叫んだ。

悪いけど魂はあずからせていただくぜ!

なによりも贈りたかったものはなく
バックスタンドに向かって別れを告げるペトロ

雨がまた激しく降ってきた。歩くのがイヤでだただらシャトルバスに並ぶ。後ろのほうから「ユーゴスラビア!ユーゴスラビア!」。100人以上はいそうな大合唱。試合中はついに歌うことのなかったペトロの応援歌。そして「好きにならずにいられない」。絶叫。クルマが数台、クラクションを威勢良く鳴らして出て行く。後ろから大きくなる歌声、正門からも上がる歓声。


ところで高円宮って川渕チェアマンとおんなじジンクスとかないか?(誤)

観衆:16,405人
(3月の「ダービー」第1戦は20,189人でほぼ満員だった。雷雨とはいえ)

公式記録:ここ
試合結果:公式HPのここ
試合経過:公式HPのここ
ペトロは退団を決めた後でオファーのあった自宅近所の古巣(のひとつ)・オランダRKC WAALWIJK(ヴァールヴァイク)と2年契約。レッズ最古参の広瀬と同じ'65年生まれにして「半袖王」として君臨した我らが「ダイナモ」、ありがとう!
「セレモニーまで放映してくれってスカパーにメールだしたら、検討しますって返事きた」開門前、前に並んでたひとたちの会話。放映快挙。
15分後にはしっかりレッズ応援モードに切りかえたサポだったが選手たちは?
18:15、ユーゴ国旗をふって最後のアナウンスを待つ。
「背番号6 ペトロヴィッチ!」
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