8月5日 クラブ・ヴィーナス「プラスチックマン」/新宿・リキッドルーム

エリ〜湖は知っていた


 (20k, jpg)

  前回1月は、マネキンみたいで超カッコ
  よかった14。今度は髪も伸び、だいぶ
  人間らしくなってご登場〜

 また来てくれた、メガネくん(リッチー・
ホーティン。本誌がホーティンを14と書
くのは、ホーティン=フォーティーンと
ゆー駄ジャレ。でも、誰も笑ってくれな
い…)。近ごろ一部でイヤな評判も聞か
れるけど、何しろ挫折を知らない天才児。
あるいは軽率な言動があったりするのか
も。ホントはきっと良いコ〜、とは思う
が、そういや最近+8のレコード買ってな
いな(何かイイ盤があったら、ウチにも
教えてっ さもないと暴れちゃう〜)。
この夜、入場者を666人(黒魔術か?)に絞
ったという場内は快適。かつて本誌が酷
評した液部屋だが、音響はその後かなり
改善された。相変わらず床は揺れるけど。

 入った時廻していたDJトモアキは、
手つきもあざやかにレコードクリーナー
を使う姿が印象的。そしてこの夜、最初
のヤマ場は横田進のPA。おなじみのロー
ランド銘機群808・909・303等が、かな〜り
速いテンポでドンチャカ・ポコポン(江
戸っ子が制作のテクノは概して速いみた
いだけど、やっぱセッカチだから?)。
はっきり言うとその音楽は、例えば10バ
ンドEQの800Hz以外を全部カットしちゃ
ったよーな、テクノの全領域のごく一部
だけを追求したもの。しか〜し、さすが
この道ひと筋の横田。これは守りの音楽、
盆栽テクノでは?と思いつつも、たたみ
かけるリズムの洗練には息を呑んだ。横
田が自らノッてみせなければ、聴衆はそ
れが娯楽音楽であるとは思わなかったか
も知れない。

 そして、プラスチックマンこと14登場。
なぜか最近「銀箱」系のPAをよく見る
が、メガネくんのはまったくモノが違っ
た。同日の横田に比べ、ほぼ同じ機材な
のに14の音は鋭角に乏しく、まさにプラ
スチック。が、それがかえって雄大さを
かもし出す。速く遅く、激しく静かに転
変する電子流。まるでエリー湖の水面に
大きなうねりが生まれ、よく見るとその
表面にも無数の小さな波。その波は米州
5大湖を揺さぶり、そして大洋をも横切
って東洋の小島へ…(本誌では極度に珍し
い自然描写)。やがてテンポを速めた音楽
に合わせ、「イチバ〜ン!」というよー
に指先を突き上げた14(性根はパンク)。
速まるテンポが極限に達した時、人々は
45分の巨大な夢から醒めた。

Back to vol.18 Contents Next Page 「スカポン機材が、逆襲するとき」

Nogucci Harumi < MGH03372@niftyserve.or.jp >