小特集・テクノ都市NY再訪

そびゆる摩天楼と胡乱(うろん)な人々


 第9号NY特集で、推薦3人のうち2
人もが中西部だったとゆーマヌケなデジ
ビ。罪滅ぼしの紐育続報〜。

 さてバンバータらの偉業は別として、
NYが今日的テクノの文脈に入ってきた
のは、'80年代末にF・ボーンズ/T・ムス
ト/レニー・ディーというブルックリン3
人組が、「ヒップホップ系テクノハウス」
とゆーウロンな曲調で一発当ててから。
コレに英国のサイモン・ハリスらが呼応
し、大西洋をはさんでアホ合戦を繰り広
げ、後のアホっぽいレイブ/ブレイクビ
ーツ系の基礎を築いて下さった。この辺
りの作品は今聞くと完ぺきダサいが、粗
雑さにヘンな魅力があって気になる。キ
ック音も極太だし、ボーンズによるトラ
ック集(「ボーンズ・ブレイクス 5」
APEXTON・AP144他)などはク〜ルでイケま
すとも。

 その後レニーは、インダストリアル・
ストレングス(IS)とゆーH帝国を建設。
その系列レーベルISTもH系かと思っ
たら、実は違うみたい。ラテン系名前の
作者による004番『ARKANO』は、ややトラ
ンス風でテンポも音色も抑え気味。が、
地味な展開の中に切なさが湧き上がって
感涙必至。レニー社長も偉いぞっ!
 さてNYのHでは、IS以外にダイレ

クトドライブ(DD)が知られる。その
1番('92年)を飾ったのがディスインテ
グレータ。近作のIST9番も良かった
が、このDD1番も、T99の名作をアシ
ッドまみれにしたよーな傑作。人声標本
とアシッドが混然一体化、とゆーアイデ
ィアもナ〜イス! で、DDの社長アダム
Xってのが完全にヘン人。彼による19番
は「サイコデリック・グランジ」とゆー
題名からしてイヤだが、内容はラップ入
り!の悪趣味なハードアシッド。けれど
独自の奇ッ怪な味わいがあり、キライに
なれない…。

 そしてNYテクノといえば、当然D・
ワイルド様+S・ストール陣営。デジビ
がヒイキするストール兄キの特長は、ズ
バリ何もしないこと。シーケンス垂れ流
し。なのにどーしてイイかというと、基
礎のリズムパートが卓越してるから。た
ぶん「コレだぜっ」とゆーとこまでリズ
ムを作り込み、後は上モノを出し入れし
てアガリ、って感じ? でも最新作のプロ
パー5番はもーひとつ。むしろ同3番、
炭素少年団(作風が兄キそっくり。本当に
別人?)の方がオススメ。

 そして、SW14番のDJパワーアウト
(図)は特選盤。彼はジオメトリックでも
出してるから、探そ〜っと。

 (13k, jpg)

DJ POWEROUT「CIRCUIT WORK」SW N.Y./SW14
あの909キングにも匹敵の、強力歪みトラック!

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