ポップの歴史の、要に位置するのがロ キシーミュージック。その方法は、ポッ プを擬態するポップ。リキテンスタイン が漫画から芸術を作ったように、B・フェ リーも流行歌から別の表現を編み出した のだ(彼の師匠ハミルトンは、英国ポッ プアートの元祖)。そして彼らは、電気的 +グラマ〜というテクノのイメージをも 予言。'72年の1St.アルバム(図)は 「リメイク/リモデル」という曲に始まっ て「電子淑女(レディトロン)」と続く、軽 薄なイメージがもたらす苦悩と快楽の詩。 D・ボウイも重要だが、ロキシーは方法の 自覚に優る。その個性をカッコにくくっ た表現こそが、後のクラフトワーク(テク ノとして)とセックス・ピストルズという 双子の野獣(!)を生み出したのだ。 (9k, jpg) 「ROXY MUSIC」(番号は省略) テクノ的見地では、最初の2枚が重要! ところが'70年代を通じてまともなポッ プは衰弱、ついに'80年代には滅亡。ホ ンモノのないところでロキシーの擬態が ホンモノと見なされるに至り、その存在 の意味は変質した。身動きのとれないフ ェリーが周りを見渡せば、思想抜きに彼 の方法を盗用しながら商業ロックの延命 を図るゾンビ野郎('80年代NW!)ばっ か。彼の近作に、絶望の香りがただよう のも当然だろう。血を吐く思いで流行歌 と戯れ続ける仮面の勇者。
Nogucci Harumi < MGH03372@niftyserve.or.jp >