逸脱者だけが未来を造る

テクノから遠〜く離れて(?)


 最近ズブズブとアングラ街道を行くデジビ。おかげで読者の皆さまからは「紹介されているレコードが、ぜ〜んぜん見つからん」「もー少しメジャーなテクノも取り上げては?」と叱られっぱなし。ううっ、ゴメン…。そこで新年巻頭特集は、そんな情けないアタイらの「心の日記」!

×月×日 評判のLFO『タイド・アップ』(WARP・WAP 56CD)を聞く。最初からカッコ悪いビートでガックシ。5バージョンきっちりと退屈、ちぇ。

×月×日 『ラウド』第5号を読む。それによれば、LFOの作品は「テクノ系人間の90%を大興奮させる傑作」であるとか。あ〜なんてこった。アタイらデジビは「残り10%のハズレ者」なのか。やっぱり…。

×月×日 バーゲンで、メインフレームの'93年初期盤を2枚買う。まったく注目されないウィーンのレーベル。以前から興味はあったが、コワくて正規の価格では買えなかった。6番はテンションでおなじみキルリアン。もったいぶったイントロの後に大マヌケなアシッドフレーズが登場するA1、うらぶれ酒場のカクテルピアノみたいなA2に大爆笑。こーゆーウソん気っぽさはイヤでないが、コレじゃハードフロアの「リスペクト」に洩れたのも当然だな。

 で、もう1枚ベルリン発のプリックス(図)がまた異常。A1はディープパープルみてーなオルガン分散和音に続いて歪みシンセがジャカジャッ、トイピアノ(!)がチャカポコポン。そして一気にグギギギッ!と盛り上げてフロアは大爆発(?)。女が「見て見てっ」と連呼するB2も悪寒頭痛を誘発。これはアタリだっ!

(12k, gif)

「PLIXX I」MAINFRAME 004
この名前、このデザイン、ここ
のボスはテクノ者の性感帯を
知っている。プリックス兇
出てたハズなので探そーっと

×月×日 レオ・アニバルディのアルバム(図)。この人ってアルマーニの弟分だよなー、と思って買ったのだが、そんなまともなモノ(?)を期待したアタイは大バカでした。最初の曲は雑多な音響の中からオルゴールぽい子守唄が浮き出し、そしてピンクフロイド「神秘」風の大交響楽(…)に発展、とゆー壮大な逸脱ぶり。他に一応アシッドと呼びうる曲(突然ガムランが乱入したりするが)もあり、その作風は誰に近いかといえばホーティン(14)。しかし14の軽快さに対し、この人には根無し草の悲愴感あり。イイと思ったのでEP『AEON』(ACV・ACVCDS1038)も購入、こっちはさらに切り詰めた表現で、かえって分かりやすいかも。

(18k, gif)

LEO ANIBALDI「THE VIRTUAL LANGUAGE」POWWOW/PWD 7448
まず売れそうにないACV(コレがそう)やTRESOR作品の
米国盤を出すパウワウはエラい。が、このジャケ絵センスは?

×月×日 最近よく名前を聞くクリスチャン・ボーゲルのアルバム『BEGINNING TO UNDERSTAND』(MILLE PLATEAU・MP CD8)を発見。これも大半の曲がヘン、その作風を一言で説明すると「チュッチュク、ピュッピュ〜」。音楽らしさに乏しく、拾ったシンセを弄んでいるよーな感じ。数学の天才クンが作ったアシッド、と言われたら信じてしまいそう。リズムは巧みだが、ハウスっぽさを避けているから踊りにくく、娯楽性ナシ。タイトルに反しフツーの意味での「理解」はまず不可能、なのにすごく面白い。

×月×日 こーゆーヘンなものを楽しみながら思うこと。初期PILやキャブスをムリヤリ娯楽化したのがアシッドハウスだとすれば、この連中はそれを元の文脈に戻しているともいえる。そして彼らの音楽が再び娯楽化に向かう時、テクノはガラリと変わるかもしれない。ともあれ、未来を造るのは、木から下りたサルのようなヒネクレ者たちだけだ。


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