中西部・アシッド戦隊が征く

「愛される強酸党」


 先日、渋谷のレコ屋で聞いた会話。「こ
の『アナログ』ってイイの?」
「ガキ向けのアシッドでしょ」
 大がくぜん…人々の意識が、まだこれ
ほど低いとは、本誌のこれまでの報道活
動は何だったのかぁ! だって「ガキ向
けのアシッド」を真剣に探しているキッ
ヅが、まちがってアナログの盤を買った
りしたら超不幸ぢゃん。そんな事態を避
けるためにも、中西部最新情報をご紹介〜。

 '94年秋、世界のマニヤを不意打ちした
中西部テクノ。どーしてこんなモンが?
と不審の声が高かったわけだが、その素
顔が少しずつ明らかになってきた。まず
ミルウォーキーでドロップベースを運営
するカート&ウェンディ(DJとしても
活動中)は、元々ブラックフラッグが大好
き!なパンクさん。それが'88年シカゴ
ハウスの衝撃で人生が曲がったとゆー、
まさにデジビが想像したとーりの人物。
彼らは'93年からウッディ・マクブライド
やハイパラクティブと手を結んでレイブ
活動を開始し、'94年にはレーベルを発足。
いきなりのウッディ3連発が欧州で最大
級の評価を得て、一気に「中西部に恐怖
の軍団あり!」を世界に知らしめた。St.
ポールのフレディ・フレッシュは古くか
らのヒップホップDJで、エレクトロを
経てテクノに転向。そして彼の活動に刺
激を受けたのが、ノースダコタ出身の正
真正銘イナカ者ウッディ・マクブライド
(やはりニューマンが大好き、とゆー変人)。
 で、ミルウォーキーにしろSt.ポール/
ミネアポリスにしろ、もちろんテクノは
マイナー。イベントは、ロックやヒップ
ホップとの抱き合せが当り前。レイブも
50〜100人という小規模のもの中心で、東
京のホコ天レイブと大して変わらない感
じ。そんなシーンからの粗野でムキ出し
な作品群が、いま全テクノ界を揺るがし
ているのだ。
 また最近、デジビが奇跡的に発見した
のが中西部のインターネット活動。
オートK(オート・キネティック)のページ
ではアナログ/EMFのリリース情報や
「フレディの機材コーナー」(芝生の上
にモーグやアープを並べた写真!)を掲
載。ミネアポリスの「殺人テクノ軍団
ビートフリーク/ソサエティ」(DJスリ
ップやC.サッチンガーが所属)のペー
ジは、イベント告知等はともかく各メン
バーの紹介が「ベース爆弾突撃隊」「バイ
ブ大臣」「お皿女王」「アシッド省大幹部」
…とゆー極端な頭の悪さ。だが、誰の力
にも頼らずシーンを強くしてきた彼らに、
それらの称号はふさわしいかも(うぅ)。
 さて中西部最新盤で特筆は、アナログ
一家の好調ぶり。S.ストールを迎えて
のEMF7番は、併録DJスリップの
初々しい変態性が◎。同8番はオートK
が深みを見せ、モジュレータ(フレディ)
は初心に返っての珍エレクトロ。オート
Kは英国「V」3番のB面が大アタリ。
そしてアナログ18番『独逸対NY』は完
全未知の新人集だが、そろいもそろって
の異常酸(しかもチャンとノリがある)
で推薦盤。一方不調気味?のウッディだ
が、彼のコム一家からは有力新人が続々
登場(特にヘッド・イン・ザ・クラウズ
のリリースは好調。が、サウンズ6番D.
カーターはハズシ)。小さくても強いシ
ーンを作りたい!と願うアタイたちに、
中西部は希望の明りを灯してくれる。

  (17k, jpg)
 アナログ傘下のヒップ
 ホップ・レーベル
 「バタービート」2番。
 A面は初期GTO風、B面は
 ブレークビーツもの、
 共に珍妙な電子音入り
 …コレってダサくない?
 誰か鑑定してください

  (1k, jpg)
 オートKのページに掲載、
 われらがフレディ様のご尊顔

  (13k, gif)
 コミュニケ(略称コム)傘下、
 HEAD IN THE CLOUDSの部分拡大図


ハズシ情報:前号紹介BPMFの正体は、プロトタイプ909等で活躍のJason Szostekと判明。だからって何?
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