ドナウ河のさざ波
中欧モノ2枚組3本勝負。まず日本じゃ無名マークN.R.G.(エナジー)は、Cタン
クと並ぶ独オーバードライブの2大スター(…)。昨年盤「初期+最新作品集」(
OVERDRIVE/OVER 018-12)を聞くと、独逸では珍しくハウスのセコさの魅力を理
解。作りの粗さは、逆にフロアでは魅力かも。最後の2曲は「軽薄な東洋趣味」みたいだ
が、実はそこが一番イイ。おセンチに溺れず、自己分裂の危機と戯れながら異なる思考
の力を汲み上げている。お次は音楽の都ウィ〜ン、パルジンガー/ツナカンらの昨
年盤「10/サスティン・リリース」(CHEAP/12 CHEAP 10)は、お得意のレアグルーブ・
テクノがヒネり過ぎた大衆娯楽。思わず大喜びだが、世の人々はどー受け止めるのか
? でも収録曲の大半は地味〜なトラックで、地味を極めたD面は止まりそうで止まら
ない殺人的回転木馬のスリル。そして本誌だけの英雄ヘックマン「DRAX/
TALES FROM THE MENTAL PLANE」(TROPE/013-DOLP)は、いつもの姿勢とはかけ離れた利
己的トラック集。触ればすぐに血が出そうな生々しさ、痛々しさ、まるで優しいパパ
の意外な素顔を見ちゃった感じ。でも、アタイはついてゆく。
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